太陽ホールディングスが新CM「たいせつなものを守る強さ。」篇を公開した。これを記念し、同社のブランディング戦略を牽引してきたCBO※1吉野由季子さんに、これまでの歩みと今回のCMの位置づけを聞いた。あわせて、スペシャル企画として本CMの監督を務めたCMディレクター・岩崎裕介さん(OND°)との対談も実施し、CMへのこだわりを深堀する。
※1 CBO Chief Branding Officer
CBO・吉野由季子が語る、ブランディング戦略のこれまでとこれから
ーー 今回のCMは、太陽ホールディングスのブランド戦略の中で、どのような位置づけにありますか。
吉野 私たちのブランディングは2020年10月にチームを立ち上げたところから始まりました。この取り組み全体を「ブランディング・ジャーニー」と名づけ、フェーズ1「知ってもらう」フェーズ2「興味をもってもらう」フェーズ3「理解してもらう」
という三つのステップに分け、企業認知度や事業理解度に関する外部調査を基に、様々な施策を戦略的に展開しています。
フェーズ1では、太陽ホールディングスという社名自体があまり知られていなかったため、まずインパクトを重視し、社名を知っていただくことを目的にCMを制作しました。それが第一弾の「宇宙少女 デビュー」篇です。認知が広がったフェーズ2では、太陽ホールディングスらしさへの興味を持っていただくことを狙い、挑戦する少女の姿をイメージした第二弾「宇宙少女 楽しんだもんがち」篇を展開しました。そして現在は、会社内容そのものを理解していただくフェーズ3に軸足が移っています。
これまでは「楽しい世界は、楽しむ人がつくりだす。」というブランドステートメントのもと、いかに挑戦を楽しむ会社であるかを前面に打ち出してきました。今回の新CMでは、そこからもう一歩進んで、自分たちが本当に大切にしているものは何か、当社製品や技術を生み出している人たちの存在をしっかり感じとれる内容へとシフトしています。
ーー 想定している主なターゲット層は誰ですか。また、特に強化したい企業イメージはありますか。
吉野 いま、多くの企業にとって人材確保は大きな課題となっており、個人にとっても転職が当たり前の時代となりました。そうした環境の中で、自分のキャリアや働き方について、主体的に情報を得て、見出そうとしている方々をターゲットに、CMを作りました。
今回のCMでは、「世界の進化にはなくてはならない会社」というメッセージを特に強めていきたいと考えています。私たちの主力事業の製品であるソルダーレジストは、日常生活の表舞台に出てくることはほとんどありませんが、スマートフォンや自動車、医療機器といった豊かな生活につながる「たいせつなもの」を支える“影の立役者”です。そして、その存在は、大きく表に出て主張するのではなく、静かにそっと製品機能を支えています。
今回のキャッチフレーズ「たいせつなものを守る強さ。」は、まさにそうした当社の主力事業と自然に重なる言葉です。大きく派手に自己主張をするのではなく、見えないところで確かな技術力と責任感をもって支え続ける――そうした太陽ホールディングスらしさを、皆さんに感じ取ってもらい、太陽ホールディングスを将来の選択肢の一つとして意識していただけたらうれしいです。

一度つくって終わりではない。“ブランドを育て続ける”という仕事
ーー 今回のCMを、今後のブランドコミュニケーションにどう活かしていきたいですか。CBOとして、ブランド戦略の今後の展望を聞かせてください。
吉野 まさに今、フェーズ3として会社の内容を理解していただく段階にあります。この製品がなければ、この会社がなければ、世の中は成り立たない。そうしたことを、このCMを起点にさまざまな活動を通じて伝えていきたいと考えています。
ブランディングは一度つくって終わりではなく、定期的に見直していくものだと捉えています。私たちも、フェーズ1からちょうど6年が経ちました。一般的な認知度や社内認知度が一定の水準に達した段階で、これまで掲げてきた「楽しい世界は、楽しむ人がつくりだす。」というブランドステートメントそのものが、今の太陽ホールディングスにふさわしいかどうかを、あらためて見つめ直すタイミングが訪れるはずです。
会社を取り巻く状況は、常に変化していきます。だからこそ、今回のCMや、ブランディング活動は、社外に向けてだけでなく、社内で働く一人ひとりに向けたメッセージとしての側面も、より大切になっていくのではないかと感じています。
優れた素材を生み出し、守り続けることも、会社の仕組みを維持していくことも、そこで働く人たちの手がなければ叶いません。 今回のCMに込めた『たいせつなものを守る強さ。』という言葉は、社外への発信であると同時に、会社にとって最もたいせつな存在である『働く一人ひとり』に宛てたメッセージでもあります。 この想いを、社内外の多くの方に長く感じ取っていただけたら嬉しく思います。
●プロフィール
吉野由季子
東京都生まれ。高校在学中に単身渡米し、ニューヨーク工科大学でCG・ブランディングを学び、ニューヨークにて7年勤務。帰国後は、外資系医療機器メーカーでマーケティングやCOOを歴任し、15年以上ブランドマーケティングに携わる。2020年4月、太陽ホールディングスに入社し、Chief Branding Officerに就任。認知拡大から企業理解の醸成まで、段階的なブランド戦略の構築・推進を担う。
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