「5年後の自分は、どんな仕事をしているのだろう。」
就職活動中の学生にとって、そのイメージをどれだけ具体的に描けるかは、企業選びの大きなヒントになる。
#TAIYO Career Journey は、新卒入社から5年目の社員に焦点を当てたインタビューシリーズである。入社後の数年で土台を築き、仕事にも自分にも自信が芽生え始めるその時期に、太陽ホールディングスグループでどんな経験を重ね、どこまで成長し、どんな役割を任されるようになるのか。リアルな姿を伝えていく。
今回スポットを当てるのは、太陽ホールディングス 研究本部 企画開発部 半導体周辺材料開発課の奥田綾乃さん。
太陽ホールディングス研究本部は、「今を支え、未来を創る」をミッションに、新規事業創出や新技術の開発、そして分析・DXなどで既存事業を支える中核組織である。 2022年の入社以来、奥田さんが研究者として歩んできた5年間の軌跡と、今抱いているミッション、これから挑みたいテーマについて――その等身大のストーリーを、前編・後編の2回に分けて紹介する。
入社以来、将来需要を見込む新規材料の研究開発を担当
――太陽ホールディングスに入社してから現在まで、どんな業務に携わってきましたか?
もともと大学院では有機合成分野を専攻し、低分子有機化合物の合成研究を行っていました。太陽ホールディングス入社後は、研究本部 企画開発部 半導体周辺材料開発課に配属されました。研究本部の中でも企画開発部は新規事業の開発がミッションで、所属する半導体周辺材料開発課は市場が急拡大している先端半導体パッケージに関わる新しい材料を研究・開発していく課になります。この分野の技術革新は目覚ましく、サプライヤーのゲームチェンジが大きく起きていて、当社の強みであるフォトリソグラフィ技術※1を十分に活用することが出来る分野だと考えています。
太陽ホールディングスの新しい柱を作るという意味合いを持つ大切な仕事だと確信しています。その中で私は入社以来、一貫して新規の半導体パッケージに必要な全く新しいRDL※2という材料の研究開発に携わっています。大学院の研究テーマと業務が重なっていると感じるのは3割ほどで、分子構造や反応設計の理解、合成・精製・分析に必要なスキルは、学生時代に身につけたものが業務でも活きています。入社後に高分子材料化学・光化学・エレクトロニクス業界の知識などを学びなおし、業務では新しいことにチャレンジしている感覚の方が強いです。
※1 フォトリソグラフィ技術 電子デバイスの製造で、マスクの回路パターンを光でレジストに写し取り、基板を微細加工する工程技術のことをいう。
※2 RDL 半導体パッケージの再配線層形成用絶縁膜や銅配線向けの感光性材料などの一般的な総称。
――半導体周辺材料開発課の構成と、職場の雰囲気を教えてください。
入社1年目から6年目までの社員と40代前半の課長の13人構成※3 です。若い社員がほとんどなので、「キリがいいから、今日はここまでは終わらせよう」みたいな感じでエネルギッシュに仕事をしている人が多いです。また、メンバー同士の仲が良く、雑談から発展して廊下や実験室の壁(ホワイトボードになっている)にいろいろ書きながら相談している姿が良く見られます。こうした議論がすぐ生まれる環境は、私たちの課のいいところだと思います。
――上司はどんな方ですか?
化学を非常に大事にされている、言うなれば教授のような方です。例えば、研究・開発を進める中で問題が起こったときに、何かを変更して解決したらそれで良しとなりがちです。でも、課長はそこで終わりにするのではなく、一度基本に立ち返ってその時どういう現象が起こっていたのかをきちんと把握するべきという考えを持っています。現象の原因や要因を突き詰めることは技術者としての知見が増えることにもつながるため、現象理解をする実験を実施することは大事だと年々感じています。
※3 2026年6月時点
キャリアや新規材料の開発フェーズに合わせて担当する業務も多様化
――1日の業務スケジュールを教えてください。
定時の8時30分から業務をスタートし、だいたい9時までにメールチェックやその日の予定を確認した後、9時から12時にかけて実験をします。お昼休憩は自由な時間に1時間取れますが、私は大体12時になったら午前の業務は終了して、食堂でお昼をとります。当社の食堂は、メインメニューは週替わりで用意される6種類から選べ、ご飯やサラダ、小鉢は食べ放題というスタイルです。リーズナブルな価格で栄養満点なランチが食べられるので、毎日多くの社員が利用しています。
13時から午後の業務が始まります。14時までは定例会議や打ち合わせが入っていることが多いです。その後は、実験結果のまとめや、お客様に提出するデータを整えるなどの事務作業をすることもあります。それらがなければ実験の続きをしています。だいたい16時頃からその日の実験データの整理や翌日のスケジューリングをして、17時になったら退勤します。研究本部は全体的に残業が少なめで、したとしても1日1時間程度※4ということが多いです。
※4 太陽ホールディングス在籍社員全体の月平均所定外労働時間は22時間(1日当たり約1時間、2026年3月期実績)
ある1日のスケジュール
08:30〜 メールチェック・予定確認
09:00〜 実験 改良した材料を配合し、性能を試験
12:00〜 休憩 食堂で他部署の先輩と一緒にランチ
13:00〜 打ち合わせ お客様、国内外の研究機関、原料メーカーなどと今後の材料改善の方向性についてディスカッション
14:00〜 実験 材料が電子部品に使えるか、硬さや耐熱性などの性質を試験
16:00〜 実験データ整理・翌日のスケジューリング
17:00 退勤
――ここまでのキャリアで、どのような業務を担当してきましたか?
新しい製品が世の中に出るまでにはまず、まだ世の中にない新しい材料の可能性を探る「研究」の段階を経て、続いてそれをお客様が実際に使える形に仕上げていく「開発」の段階を踏む、というプロセスがあります。
1年目と2年目は主に研究で、改良業務を担当しました。例えば、何か明確な技術的課題に対して、上司の指示の下でいろいろなアプローチを試して課題の解消を目指すといった業務が多かったです。
3年目になると、テーマが進んで開発ステージ寄りのフェーズに移行したことで、以降はスケールアップ業務も担当しています。実験室レベルでは問題なく作れていた材料でも、大きなスケールになると新たな課題が見つかるため、協力企業とともに試作と評価を繰り返し、期待する性能が出る条件を検討しました。また、国際学会などで発表した研究成果を見て、興味を持ってくださったデバイスメーカーにサンプルを出荷し、そこで評価された結果から改良やデータ照会の依頼に対応するといった業務も任されるようになりました。
5年目以降は、「このテーマを上市させる責任者は私だ」という意識を持って取り組んでいます。お客様や協力企業との窓口の一人として、自分の判断で改良方針や実験計画をすり合わせて業務を進めることが出てきました。また、個々の実験だけでなく、チーム全体の目標設定や進捗管理も担うようになり、プロジェクト全体を俯瞰しながら開発を推進する役割も果たしています。
新規材料に感じる確かな可能性が業務を支える原動力
――担当業務のどんなところにやりがいを感じていますか?
やっぱり仮説検証において、うまくいくかもしれないと思える仮説がひらめいたときや、実際に仮説通りにうまくいったときにやりがいを感じます。昨年の夏頃ですが、ある課題に対してアプローチを変えて検証を繰り返しても、なかなかうまくいかないということがありました。秋になってやっとある方法で解決する条件が見つかった時は大きな達成感がありました。
――仕事の支えになっているものは何でしょうか?
研究を進めている材料が、数年後にはソルダーレジスト※5と並んで太陽ホールディングスのエレクトロニクス事業を支える柱になっているかもしれないという可能性は、仕事をする上で支えの一つになっています。国際学会や展示会などで対外発表をする機会も多いのですが、その際に好意的なフィードバックをいただいた時は良い材料を扱っているという自信にもなりますし、もっとブラッシュアップしていきたいと思える原動力にもつながっています。
※5 ソルダーレジスト さまざまな電子部品を搭載した基板の表面を覆い、回路パターンを保護する絶縁膜となる材料。基板機能の信頼性を支える重要な役割を担う。
――進めている研究開発が実を結んだ場合、世の中をどのように変える可能性がありますか?
電子機器の回路をより細かく・高性能にできるようになることで、通信速度がもっと速くなったり、大容量の通信が可能になったりします。それをずっと突き詰めてきたのが半導体業界の歴史でもありますが、それを更に加速させることができると思います。
ここまで担当業務の変貌や研究開発に対する思いを話してくれた奥田さん。【後編】では、仕事とプライベートの両立やキャリアへの思いを聞く。
●プロフィール
奥田 綾乃
1995年、神奈川県生まれ。東京理科大学大学院で有機合成分野を専攻。2022年に新卒で太陽ホールディングスへ入社し、研究本部 企画開発部 半導体周辺材料開発課に配属。入社以来、RDL向け新規材料の研究開発に従事する。現在は後輩2名とチームを組み、リーダー的な役割も担いながら、次世代材料の開発に取り組んでいる。海外研究機関との共同研究にも携わり、将来的にはグローバルに活躍する研究者を目指している。
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