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【インタビュー前編】材料開発からプロセス開発へ。5年目技術者のキャリアを変えた転機

#Taiyo Career Journey2026.08.27
【インタビュー前編】材料開発からプロセス開発へ。5年目技術者のキャリアを変えた転機

「5年後の自分は、どんな仕事をしているのだろう。」
 就職活動中の学生にとって、そのイメージをどれだけ具体的に描けるかは、企業選びの大きなヒントになる。
#TAIYO Career Journey は、新卒入社から5年目の社員に焦点を当てたインタビューシリーズである。入社後の数年で土台を築き、仕事にも自分にも自信が芽生え始めるその時期に、太陽ホールディングスグループでどんな経験を重ね、どこまで成長し、どんな役割を任されるようになるのか。リアルな姿を伝えていく。
 今回スポットを当てるのは、太陽インキ製造 技術開発センター 要素技術開発部 プロセス開発課に所属する合田佳弘さん。太陽インキ製造は、太陽ホールディングスの中核事業であるエレクトロニクス分野を担うグループ会社で、プリント基板などに使用されるソルダーレジスト※1をはじめとした電子部品向け材料の開発・製造・販売を行っている。

その中で要素技術開発部は、「自社製品を生み出すための技術を生み出すこと」を担い、プロセス開発課では主に工程設計、原料内製化 をしています。

 2022年に入社し、技術者として歩んできた合田さんの5年間の軌跡と、今抱いているミッション、これから挑みたいテーマについて――その等身大のストーリーを、前編・後編の2回に分けて紹介する。

※1 ソルダーレジスト さまざまな電子部品を搭載した基板の表面を覆い、回路パターンを保護する絶縁膜となる材料。基板機能の信頼性を支える重要な役割を担う。

経験を生かして挑戦できる新しい部署への異動を決断
――出身大学院での研究テーマや太陽ホールディングス入社後の職歴を教えてください。

 大学時代の研究テーマは、天然物有機化学の分野で、海洋マクロリド天然物※2の全合成に取り組んでいました。将来的に医薬品のもとになる可能性を持つ化合物を、一から合成するという、とてもチャレンジングで面白い研究でした。一方で、社会人としては「自分のつくったものが、より直接的に世の中の役に立ってほしい」という思いも強くなり、2022年にソルダーレジストで世界シェアNo.1※3を誇る太陽ホールディングスへ入社しました。

 入社後は、太陽インキ製造 絶縁材料開発部 PCB(プリント基板)材料開発課に所属し、ソルダーレジストの開発・改良業務を担当しました。入社1年目からお客様からの要求を満たすソルダーレジストを開発したり、先輩のサポートの元で開発を進めたりなどの案件を担当させていただき、3年目の時点では大型顧客を相手に、自分で方針を考え提案し、試験や新たなインキを開発するなどの大きな案件も任せてもらいました。その後、入社3年目の2024年10月に太陽インキ製造 技術開発センター 要素技術開発部 プロセス開発課に異動しました。

※2海洋マクロリド天然物 海洋生物由来の、複雑な環状構造と多様な生理活性を持つ有機化合物。

※3「2024年エレクトロニクス先端材料の現状と将来展望」株式会社富士キメラ総研調べ

〈あと何年か研究員として大学に残り、研究を続ける選択肢もあったが、スピード感を持って世の中の役に立つ”モノづくり”に携わりたいという強い思いから太陽ホールディングスを選んだと振り返る合田さん〉

――絶縁材料開発部 PCB材料開発課でソルダーレジスト開発を担当されたとのことですが、どんなところに大学院の研究開発との違いを感じましたか

 大学院の研究室では合成するスケールは大きくても数g程度で、扱う量も設備規模も小さいものでした。一方、ソルダーレジストではプリント基板に塗布する関係上、相当な量を安定して製造する必要があり、インキ製造のスケールは研究室とはまったく異なります。そのスケールの違いに、最初は大きなギャップを感じました。


――絶縁材料開発部 PCB材料開発課から要素技術開発部 プロセス開発課に異動されたのはなぜでしょう?

ソルダーレジストの開発・改良業務では、顧客の期待に応えていくことに大きなやりがいを感じていましたし、自分の手を動かして新しいソルダーレジストの実験・開発を進めていくこと自体にも、とても楽しさを感じていました。
一方で、お客様と密に関わっていく中で入社3年目に入る頃には、材料そのものの開発だけでなく、「その材料が実際の生産現場でどう使われ、どのように量産されていくのか」という部分にも関わってみたいという思いが強くなっていきました。そこで、これまでとは少し違う領域にもチャレンジしてみたいと考え、その気持ちを技術開発センター長に相談しました。

そんなとき、「新しいプロジェクトを立ち上げるので挑戦してみないか」と声をかけていただいたことが、要素技術開発部プロセス開発課への異動のきっかけになりました。詳しく話を聞いてみると、これまでソルダーレジスト開発で培ってきた材料やプロセスの知識を活かしながら、新規プロセスの検討や立ち上げといった新しい領域にも取り組めるポジションだと分かりました。上司がその挑戦を後押ししてくれたことも大きな支えとなり、「これは良い機会だ」と感じて、異動にチャレンジすることを決めました。

製品の高性能化に寄与する新しいプロセス開発がミッション
――要素技術開発部 プロセス開発課の構成を教えてください?また、その中で合田さんのミッションは何ですか?

 若手社員を中心に数人のベテラン社員が配属されていて、現在は14人※4が所属しています。その中で3、4人ずつのチームを組んで、それぞれチームで業務に取り組んでいます。

 私たちのチームのミッションは新規プロセスの確立です。簡単に言うとソルダーレジストそのものの開発はもちろん、「どう塗って、どう乾かして、どう硬化させるか」を突き詰める仕事です。

新たな工程を組み込むことで、作製できる基板の構造の幅が広がるため、今後の半導体市場が伸びていく中で、必要な技術だと考えています。

※4 2026年6月時点

――1日の業務スケジュールを教えてください。

 9時に業務をスタートしたら、まず30分くらいかけてメールチェックやその日のToDoリストを確認して、実験に入ります。実験では評価基板の作成を行い、12時になったら午前の業務を終了します。

 午後は、打合せが入っていることもありますが、なければ実験の続きを進めます。だいたい16時になったらその日の実験結果のまとめや、報告書の作成といった事務仕事に移り、18時に退勤します。

〈実際に作成した基板の特性評価をする合田さん。これまでない新たな実験結果をどう解釈し結論付けるかをチームで話し合い、次のステップに進んでいくところにやりがいを感じるという〉

ある1日のスケジュール

09:00〜 メールチェック・ToDoの確認

09:30〜 評価基板の作成

12:00〜 チームメンバーと社員食堂でランチ

13:00〜 実験結果の共有と今後の方針について打合せ

14:00〜 作成した基板の分析・評価

16:00〜 実験結果のまとめ・報告書の作成

18:00  退勤

ゼロから1を生み出す業務に難しさとやりがいを感じる
――どんなところに仕事の難しさを感じ、どうやって乗り越えていますか?

新規プロセスを開発する仕事なので、基本的に前例がありません。そもそも「本当の課題は何か」さえ最初から見えていないことも多く、その中で「ここに問題がありそうだ」という課題を自分たちで見つけていかなければなりません。また、得られた実験結果をどう評価するかについても、従来のやり方がそのまま使えるとは限らないため、新しい評価方法を一からつくり上げていく必要があります。こうしたゴールも正解もはっきり見えない状態で進めていくところに、仕事の難しさを感じます。

 だからこそ、私が大切にしているのは、実験結果を出して終わりにせず、なぜその結果になったのかを徹底的に考察して理解しきることです。

例えば、ソルダーレジストのプロセス条件を変えたときの特性を評価する実験で、私の手順ミスが原因となり、明らかにおかしな数値が出てしまったことがありました。一度は単なる失敗だと思ったのですが、データを丁寧に見直し、なぜこの結果になったのかを掘り下げていく中で、これまであまり重要視していなかった条件が、実は結果に大きく影響する重要な要素だったと気づくことができました。

 このときも、自分一人で抱え込むのではなく、失敗の原因や仮説についてチームメンバーと意見交換したことで、「この条件も効いているのでは?」といった別の視点を得られ、原因の切り分けが進みました。こうして、失敗を単なる失敗として片付けず、チームと一緒に原因を深掘りして学びに変えていくことで、正解が見えない中で進めていくという仕事の難しさも、少しずつ乗り越えられていると感じています。


――仕事をする上で、支えになっているものは何でしょうか?

いちばんの支えは、やっぱり一緒に働いているチームメンバーです。実験は、思いどおりの結果が出なかったり、仮説が外れてやり直しになったりすることも多く、常に高いモチベーションを保つのは正直むずかしいです。それでも、新たな仮説を立てて、実験し続けているメンバーや、納得いくまでデータを見直しているメンバーの姿を見ると、自分ももうひと踏ん張りしようと前向きな気持ちになれます。実験が行き詰まったときも、「一回条件を整理し直してみよう」「ここまではうまくいっているから大丈夫だよ」と声をかけてもらえるだけで、気持ちが切れずに済んでいます。

また、上司の存在も、大きな支えになっています。例えば、複数のテーマが重なって残業続きになっていたとき、「最近ちょっとしんどそうだけど大丈夫か?」と声をかけてくれて、業務の優先順位を一緒に整理してくれました。逆に、もう少し踏み込めそうな場面では「ここは君が前に出てやってみなよ」と背中を押してくれたりもします。ありがたいことに、良い意味で「面倒見すぎなんじゃないか」と思うくらい、一人ひとりの様子や成長を気にかけてくれていて、その安心感があるからこそ、難しいテーマにも挑戦していけていると感じます。

〈チームや課のメンバーとは、仕事に関することからプライベートなことまで、なんでも相談しやすい関係性が構築されているという〉

――合田さんの業務が実を結んだ場合、世の中はどのように変わりますか?

プロセスの開発により、さらにソルダーレジストを基板に均一に塗布し、狙いどおりのパターンで形成できるプロセスが確立できれば、基板上の配線をより細かく、より高密度に配置できるようになります。その結果として、パソコンやスマートフォン、カメラといった電子機器の高性能化につながっていきます。

 例えばパソコンであれば、同じ大きさの基板の中に、より多くの信号線や回路を詰め込めるようになることで、処理速度の向上や、装置の小型化が期待できます。カメラであれば、画像処理用の回路を高密度に実装できることで、連写性能が上がったり、高画質の動画をより滑らかに記録できるようになったりするかもしれません。表からは見えない部分ではありますが、そうした機器の速さや小ささ、使いやすさを支えている土台の一つが、私たちが取り組んでいるソルダーレジストのプロセス開発だと思っています。

 ここまで研究室時代と業務におけるギャップや新しいことの難しさ、チームメンバーへの思いを話してくれた合田さん。【後編】では、リアルな職場の雰囲気や会社への思いを聞く。

●プロフィール

合田佳弘

1998年生まれ、千葉県出身。中央大学大学院で応用化学を専攻。2022年に新卒で太陽ホールディングスへ入社し、太陽インキ製造 絶縁材料開発部 PCB材料開発課に配属。ソルダーレジストの開発・改良業務に従事した後、2024年に要素技術開発部 プロセス開発課へ異動。現在は基板の高性能化につながる新たなプロセス開発に取り組みながら、将来的には量産立ち上げや工程設計を主導できる技術者を目指している。

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