「このまま今の会社にいるべきか。それとも、転職という選択肢を取るべきか。」
キャリアの節目でそう自問し、太陽ホールディングスグループへの一歩を選んだ人たちがいる。
#TAIYO Career Journey NEXT は、第2新卒や中途入社で太陽ホールディングスグループに加わった社員に、これまでのキャリアと転機、そしてこれからの挑戦をたどるインタビューシリーズである。
今回スポットを当てるのは、2020年に太陽ホールディングスへ中途入社し、経理としてキャリアを重ねてきた伊東恵斗さん。後編では、再生可能エネルギー事業を担うグループ会社である太陽グリーンエナジーの監査役を2022年7月から兼務し、2025年8月には同社取締役に就任するまでの経緯や、そうした複数ポジションを担う中で生じた心境の変化について話を聞く。
▼前編をまだご覧になっていない方は、こちらからお読みください。
【前編インタビュー】経理をもう一歩先へ。視座を高くし、「喋れる経理」の育成に挑む
取締役に就任し、より経営層に近い思考に変化
――伊東さんは太陽インキ製造 経理部 課長を務める中で、太陽グリーンエナジーの取締役も兼任されています。これはどのような経緯からでしょうか?
太陽ホールディングスでは、若手を育成する中で関係会社の役員として経験を積ませるケースがあり、経理人材については、海外子会社や国内グループ会社の監査役に就任するケースが多くあります。これは、数字を見る立場から一歩踏み込み、より経営に近いポジションで、取締役がどのように意思決定を行い、業務を運営しているのかを学んでもらうことを目的としたものではないかと考えています。
私自身も、太陽インキ製造へ異動したのとほぼ同じタイミングで、兼任という形で太陽グリーンエナジーの監査役に就任しました。取締役会や月次の定例会議では、社長たちのご説明を踏まえ、数値面の補足や確認が必要だと感じた点について質問させていただくなど、議論がより深まるよう意識して関わっていました。そうした関わりを続ける中で、人事異動などさまざまなタイミングも重なり、2025年7月に取締役就任のお声がけをいただきました。
声をかけていただいたこと自体はとてもうれしかった一方で、太陽インキ製造 経理部の課長職に昇進したばかりのタイミングでもあり、課を運営しながら取締役も兼任することにはプレッシャーも感じていました。そこで上司である部長に相談したところ、「一人で抱え込まずに、何かあれば一緒に考えよう」と声をかけてもらい、常に相談できる心強さを感じました。そうした後押しもあり、またとない機会だと考えて、取締役の役割をお引き受けすることにしました。
――監査役から取締役となり、業務的な変化は生じましたか?
監査役時代と同様、現在も基本的な業務は各種会議への出席が中心です。会議で積極的に提案を主導する立場ではありませんが、議案や改善策について意見があれば社長や役員の方々へ直接お伝えする機会もあり、経営に近い立場から議論に関わる場面が増えました。
また、太陽グリーンエナジーの経理業務も一部担当しているため、予算策定の時期には次年度の方針検討に参加したり、同社が展開する水上太陽光事業の発電設備が設置されている現場に赴き、不具合の状況を確認したりすることもあります。このように監査役時代と比べて業務量が大きく増えたわけではないものの、より具体的に業務を執行する立場として、経営に近い視点で関わる比重が高まったと感じています。

メンバーの視座も上げ、1人でも多く数字を話せる人材育成を
――課長と取締役で会社を見る視座や向き合い方は全く違うと思います。取締役として大事にしている視座やスタンスを教えてください。
これまで経理として培ってきた強みは、数字を正確に見る力です。ただ、その視点はどうしても「この仕訳が正しいか」「税率に誤りがないか」といったミクロな部分に向きがちでした。課長になった際には、一段視座を上げて、個々の数字だけではなく全体を俯瞰して見ることを意識してきました。しかし取締役になると、さらにもう一段高い視点が求められると感じています。例えば、予算や今後の業績を考える際には、単に数字を分析するだけでなく、「この取り組みが将来どのような成果や数字を生み出すのか」まで見据える必要があります。
経理は、会社で起こる出来事を数字で捉える役割が中心ですが、取締役は会社の進む方向を示し、新たな成果を生み出していく立場です。そのため、「この施策でこれだけの成果を出したい」「この市場に可能性があるので挑戦したい」といった、未来をつくる視点が重要だと考えています。太陽グリーンエナジーの社長や役員の方々は常にその視点で経営をされています。私も間近で学びながら、数字を分析する人材から、数字を生み出す経営人材へと成長していきたいと思っています。
――太陽グリーンエナジーは、自然エネルギーによる発電をはじめとした、様々な社会貢献事業に取り組んでいますが、それらにどのように携わっていきたいですか?
新しいビジネスをゼロからデザインすることにも魅力を感じますが、私はむしろ、既存の事業や業務プロセスを見直し、「どうすればもう一段階、収益性や効率性を高められるか」を考えることに強い関心があります。これまでの経理業務を通じて、数字の裏側にあるビジネスの構造や課題に触れてきた経験から、売上やコストの推移、部門別損益などのデータを丁寧に分析し、改善の余地を見つけていくことに大きなやりがいを感じてきました。
なかなか難しいことではありますが、太陽グリーンエナジーや太陽ホールディングスでは、まさにグループ全体でその課題に挑戦していると理解しています。私も経理で培った経験を活かしながら、そうした取り組みに主体的に加わり、貢献していきたいと考えています。

――今後の目標やビジョンを教えてください。
取締役として経営層と直接話す機会が増えたことで、経理には「数字を作るだけでなく、数字を語れる力」が必要だとより強く感じるようになりました。最近は社長への報告や相談の機会も増え、その中で経営層がどのような数字を求めているのか、また数字をどう伝えれば意思決定につながるのかを学んでいます。そして、そこで得た気づきや視点は経理課のメンバーにもフィードバックし、数字の見方や伝え方のレベルアップにつなげています。今後は、こうした経営に近い視点で数字を説明し、提案できる人材を経理課から一人でも多く育てていきたいと考えています。また、そのような人材が育つ仕組みづくりにも力を入れていきたいです。
現在、新しい取り組みとして、経理業務の効率化と経営への貢献度向上を目的に、経理情報を一元管理するデータベースの構築を進めています。また、それと並行して、経理担当者の働き方そのものを見直し、従来の「処理中心」の業務から「分析・提案型」の業務への転換にも取り組んでいます。データベース構築には、大きく二つの狙いがあります。
一つ目は、資料作成業務の効率化です。会計データをクラウド上で一元管理することで、エクセル環境であれば、Power Queryなどのツールを活用した資料作成の半自動化が可能になると考えています。これにより、従来、経理業務の多くを占めていた資料作成にかかる時間を大幅に削減し、より付加価値の高い分析業務へ時間を充てられる環境づくりを目指しています。
二つ目は、管理会計の強化です。会計情報をデータベースに集約することで、BIツールを活用したデータ分析が容易になり、業績や事業状況を多角的に把握できるようになります。現在はデータベース構築と並行して分析指標の整理やBI環境の整備も進めており、今期下期には分析結果を活用した他部署とのディスカッションや、経理課からの改善提案・アクションプランの発信を実現することを目指しています。
こうした取り組みは、単なるシステム導入にとどまりません。経理担当者がデータベースの仕組みを理解し、必要な情報を整理・活用できるDX人材へと成長することも重要な目的の一つです。さらに、蓄積されたデータを分析し、経営課題の解決に向けたアクションプランの提案まで行える人材を育成することで、経理部門の価値をこれまで以上に高めていきたいと考えています。将来的には、経理が「数字を集計する部門」から「数字をもとに意思決定を支援する部門」へと進化し、経営と現場をつなぐ役割を担うことを目指しています。
取締役を経験したことで、より高い視座が必要であることを痛感したという伊東さん。今後は自身の経験を、経理課のメンバーと共有し、新しい経理の形を作り上げてくれることでしょう。
●プロフィール
伊東恵斗
1980年、東京都生まれ。経理や財務、IRの経験を経て、2020年に太陽ホールディングスへ中途入社。2022年6月には、太陽インキ製造 経理部に異動し、ERPの入れ替えなどにも携わる。2025年6月に太陽インキ製造 経理部 課長に就任。2022年7月からは太陽グリーンエナジーの監査役も兼任し、2025年8月には同社取締役に就任。現在、課長と取締役の2足のわらじで、太陽ホールディングスグループを支える。
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